後頭部は変わらないのに、前だけが減っていく

薄毛は頭全体で均等に進むわけではありません。減る場所と、ほとんど変わらない場所が、はっきり分かれます。

鏡で前から見ると、生え際が上がってきている。こめかみのあたりが深くなっている。ところが、床屋で後頭部を見せてもらうと、そこは昔と変わっていない。

同じ人の、同じ頭皮の上で起きていることです。栄養状態も、血流も、睡眠も、洗い方も、前と後ろで違うわけではありません。それなのに、結果だけが分かれます。

目黒の当院にお越しになる方からも、ここを不思議に思っているという話をよく伺います。頭皮の手入れが足りなかったのだろうか、と考えている方もいます。

答えは、手入れの差ではありません。毛包そのものが、場所によって違う性質を持っているためです。

生え際の毛包と、後頭部の毛包は別物

この差を生んでいるのは、男性ホルモンへの反応のしやすさです。

体内の男性ホルモンは、5αリダクターゼという酵素の働きで、より作用の強い型へ変換されます。この変換された形のホルモンが毛包にある受容体と結びつくと、毛が伸び続ける成長期が短くなっていきます。結果として、生えるたびに細く短くなる。この現象を軟毛化と呼びます。

ここで重要なのが、酵素と受容体の量に部位差があることです。前頭部と頭頂部では、変換に関わる酵素の量も、ホルモンを受け取る受容体の量も多いことが報告されています。一方、後頭部と側頭部では、この反応が起こりにくい。

同じ濃度のホルモンが全身を巡っていても、受け取る側の感度が違えば、結果は変わります。生え際から進むのは、そこが最も感度の高い場所だからです。

この考え方を決定的に裏づけたのが、植毛の成立です。

後頭部の毛包を取り出して、薄くなった前頭部へ移植する。この方法が成り立つのは、移植した毛包が移植先でも元の性質を保つからです。前頭部という環境に置かれても、後頭部由来の毛包はホルモンに反応せず、そこで生え続けます。1950年代に報告されて以来、この原則は自毛植毛の土台になっています。

つまり、薄くなるかどうかを決めているのは、頭皮という土地の条件ではなく、そこに植わっている毛包の性質です。土地を耕しても、種の品種は変わりません。

もう一つ、見た目の問題もあります。生え際はもともと毛の密度が低く、産毛が混ざった移行帯です。輪郭を作る場所なので、同じ本数が減っても、頭頂部より変化が目立ちます。

後退しているからAGA、とは限らない

ここで、多くの方が見落としている点があります。

生え際の後退は、必ずしも進行性の薄毛を意味しません。

思春期を過ぎると、男性の生え際は一定の範囲まで後退します。子どものときの丸みを帯びた生え際から、こめかみが少し深い形へと変わる。これは成熟生え際と呼ばれる正常な変化で、20代前半までに落ち着くことがほとんどです。

問題は、これと進行性の薄毛を見分けにくいことです。写真を撮って比べても、数か月では判断がつきません。

見分ける手がかりになるのは、後退の範囲と、毛の太さです。こめかみの後退が眉の上から2センチほどまでにとどまり、そこで止まっているなら正常な範囲のことが多くなります。一方、その線を越えて進んでいる、頭頂部も同時に薄くなっている、残っている毛が明らかに細く短い。この組み合わせがあるなら、進行性の変化を考える段階です。

そして、これが最も重要な点です。ホルモンへの感受性は、頭皮のケアでは変わりません。

血流を良くする、頭皮をやわらかくする、栄養を届ける。これらは毛包が働くための条件を整えるものです。条件が悪ければ持てる力を発揮できないので、意味はあります。ただ、受容体の量そのものを変えるわけではありません。感受性が背景にある場合、その部分は医療の領域になります。

当院で扱えるのは、条件の側です。ここを混ぜて説明する施設もありますが、分けて考えたほうが、判断を誤りません。

自分で防げる要因と、Re-Aneでの進め方

一方で、生え際を後退させる要因のうち、自分で防げるものもあります。こちらは知っているかどうかで差がつきます。

最も多いのが、引っぱる力です。髪をきつく結ぶ、いつも同じ位置で分ける、毛量を足す装飾をつける。生え際の毛は細く、根元が浅いため、持続的に引かれると抜けやすくなります。引っぱる力による脱毛は、続けば毛包そのものが失われることがあります。長く続けるほど戻りにくくなるので、早く気づくほど有利です。

結ぶ位置と分け目を日によって変える。強く結ばない。夜はほどいて寝る。これだけで負担は変わります。

次に、摩擦と紫外線です。帽子のふちが同じ位置に当たり続ける、前髪を触る癖がある。生え際は露出している場所なので、紫外線も直接受けます。頭皮の炎症が続けば、毛包にとって不利な条件になります。

そして、条件の側の話です。毛包が毛をつくるとき、材料は血液から届きます。頭部を養う血管は頸部を通って上がってくるため、首肩の緊張が強ければ供給の条件は整いません。眠りが浅い日が続くことも同じです。感受性を変えることはできませんが、持てる力を出せる状態にしておくことはできます。

鍼灸整体院 Re-Aneでは、育毛のご相談に対して頭皮だけを対象にすることはありません。どの部位から進んでいるか、残っている毛の太さに部位差があるか、頸部の緊張がどこに出ているか、睡眠の状態はどうか。こうした点を確認したうえで、頭皮鍼と首肩への鍼、あん摩に加え、マイクロニードルと幹細胞培養上清液の導入を組み立てます。

なお、急に円形の脱毛が現れた、短期間で広い範囲の抜け毛が進んだ、頭皮に強い痛みや発疹がある、生え際に沿って赤みやかさぶたが続いている。こうした場合は、皮膚科での確認を優先してください。背景によって取るべき対応が変わります。

生え際が気になり始めてから、自己流の対策だけを続けている。そうであれば、まず何が起きているのかを確かめるところから始めるのが確実です。鍼灸整体院 Re-Aneは目黒駅から徒歩4分、完全予約制です。育毛施術については、火曜と水曜に専門スタッフが対応しています。

 

発毛促進を目的とした育毛施術について、詳しくはこちらをご覧ください。

育毛鍼(薄毛・髪質改善)

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■ この記事を書いた人

榎園 高一郎(えのきぞの こういちろう)
鍼灸整体院 Re-Ane 院長

【国家資格】
鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師

【関連資格】
JCR登録カイロプラクター/NESTA-PFT/登録販売者/毛髪診断士

歯科法人が運営する鍼灸マッサージ院で歯科医師と連携し、顎関節症と食いしばりを多数担当。訪問マッサージや姿勢矯正専門院での臨床を経てRe-Aneを開院。自身も長年の腰痛に悩んだ経験から、痛みは患部だけの問題ではないという考えに至る。

現在は顎関節症と食いしばり、慢性腰痛、坐骨神経痛、発毛促進を目的とした育毛施術を専門としている。

鍼灸整体院 Re-Ane
東京都品川区上大崎2-18-25 目黒三田フラワーマンション604
目黒駅から徒歩4分/完全予約制

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