薄毛の治療を続けているのに、途中から変化が止まったと感じるとき

洗面所の照明の下で分け目を確認する時間が、前より長くなった。人に撮られた写真で自分の頭頂部を見て、言葉に詰まった。そういうきっかけでクリニックに行き、薬を出してもらって、真面目に飲み続けている。当院にいらっしゃる方の多くが、この段階を通っています。

最初の数か月は抜け毛が減った実感があった。ところが半年を過ぎたあたりで変化が止まり、髪の太さやコシは戻らないまま。医師には続けるように言われて、続けてはいる。ただ、このまま同じことを繰り返していていいのかが分からない。

薬をやめたほうがいい、という話ではありません。ただ、髪が生えてくる場所である頭皮の側に、まだ手をつけていない条件が残っていることがあります。薄毛の原因を頭皮環境という切り口から見ていくと、何が足を引っ張っているのかが整理しやすくなります。

薄毛の原因は5つに分けられる。医療で扱う部分と、頭皮環境の部分

薄毛に関わる要因は、大きく5つに整理できます。男性ホルモンの影響(AGA、女性型の脱毛)、自己免疫(円形脱毛症)、頭皮の炎症、血流と自律神経、栄養です。

このうち前の2つは医療の領域です。ホルモンの働きを薬で抑える、免疫の反応を抑える。鍼灸で置き換えられるものではなく、必要な方は医療機関での治療が先になります。

残る3つが頭皮環境です。毛包は皮膚の中にある器官で、周囲を走る毛細血管から酸素と材料を受け取りながら髪をつくっています。工場でいえば、ホルモンの影響は生産を止めにくる指令、頭皮環境は原料と電気の供給にあたります。指令を薬で抑えても、原料が届いていなければ生産量は上がりません。

治療を続けているのに手応えが薄いという状態は、この2つのうち片方にしか手が入っていない場合があります。原因を一つに決めつけず、どちらの条件も並べて確認していくことになります。

頭皮環境に関わる要因を、重要度の高い順に整理する

以下は、頭皮環境という視点から当院が優先して確認している順番です。診療ガイドラインで順位が定められているわけではなく、臨床で扱ってきた経験にもとづく整理として読んでください。

頭皮環境という枠の中で、まず確認するのが頭皮の血流です。毛包へ酸素と栄養を届ける経路そのものであり、ここが細れば、その先で何を足しても届きません。毛包は皮膚の中でも代謝の活発な器官で、供給が落ちたときには、生命の維持に直結しない働きから順に節約されると考えられます。

ここでよく話題になる頭皮の硬さは、原因というより結果として現れることが多いものです。側頭部や前頭部は筋肉の層が薄く、頭蓋骨との間に余裕がありません。循環が落ちて組織の水分や柔軟性が失われると、指で動かしたときの遊びが減り、皮膚が骨に貼りついたような手触りになります。頭皮マッサージを熱心に続けても手応えが乏しい方がいるのは、硬さの手前にある供給の問題が残っているからです。ただし、頭皮の硬さだけで薄毛の原因を判断することはできません。あくまで確認する材料のひとつです。

次に来るのが、首肩の緊張と自律神経です。頭部へ向かう主要な血管は、いずれも頸部を通ります。頭が前に出た姿勢が一日の大半を占め、後頭下から肩甲骨まわりの緊張が抜けない状態では、頭皮側の循環は上がりにくくなります。加えて、交感神経が優位な時間が長く続くと、末梢の血管は収縮しやすい状態に傾きます。首肩のこりと寝つきの悪さが同時にある方では、この2つが重なっていると考えられます。デスクワークが長い方に頭皮の左右差や温度差が見られることは珍しくありません。

三番目は睡眠の質です。材料が届いたあと、それを使って修復と成長が進むのは休息中です。深い睡眠の間には組織の修復に関わる働きが活発になるため、睡眠の質は頭皮環境とも関係すると考えられています。眠りが浅い日が続けば、頭皮の回復にあてられる時間が削られます。睡眠時間そのものより、途中で目が覚める、朝に疲れが残るといった質の低下が関わる場合があります。

四番目が栄養です。髪はたんぱく質でできていて、その合成には鉄や亜鉛が関わります。ビタミンDやビタミンB群の関与も報告されていますが、実際の相談で不足が目立つのは、たんぱく質と鉄です。食事量を大きく落とす減量、朝食を抜く習慣、たんぱく質の乏しい外食が続けば、届く材料そのものが細ります。女性の場合、月経に伴う鉄の消耗が背景にあることもあります。

最後が洗髪とシャンプーです。順位としては下になりますが、赤み、かゆみ、フケなど炎症の兆候がある方では優先度が上がります。洗浄力の強い製品で一日に何度も洗う、爪を立てて擦る、すすぎが足りない、洗ったあと乾かさずに長時間放置する。こうした習慣は皮膚のバリアを弱め、炎症を長引かせます。炎症が続いている頭皮では、血流や栄養の条件を整えても反応が鈍くなります。

順番が意味を持つのは、どれか一つが単独で薄毛をつくっているわけではないからです。すべてを同時に扱おうとすると、どれも中途半端に終わります。当院では、頭皮の可動性と左右の温度差、頸部から後頭下にかけての緊張、呼吸の深さと姿勢、睡眠と食事の状況を確認したうえで、マイクロスコープで毛包の状態と炎症の有無を確認します。その方の頭皮で今どこが足を引っ張っているのかを見極め、手をつける順番を決めることが施術の中身になります。

自分でできることと、相談や受診を考える目安

家でできることは、そう複雑ではありません。洗髪は一日一回、指の腹で洗ってすすぎに時間をかけ、洗ったあとは早めに乾かす。湯船で身体を温め、就寝前に画面を見る時間を短くする。毎食たんぱく質を一品入れて、極端な食事制限は避ける。長時間同じ姿勢が続いたら、頸部と肩甲骨を動かして頭部への循環を保つ。この4つを3か月続けるだけでも、頭皮の手触りが変わる方がいます。

続けても頭皮の硬さや温度差が変わらない場合は、首肩の緊張や自律神経の状態が背景に残っている可能性があります。当院では頭皮鍼に加えて頸部や肩への鍼、あん摩で全身の状態を整えながら、発毛しやすい頭皮環境を目指した施術を行っています。発毛を目指した育毛施術として、マイクロニードリングと幹細胞培養上清液、水光インジェクションによる導入を組み合わせる方法も用意しています。

次のような場合は、先に医療機関を受診してください。円形の脱毛斑がはっきり現れている、短期間に大量の抜け毛が起きた、頭皮に強い赤みや痛み、膿を伴う症状がある、女性で抜け毛と同時に体重や月経の変化、強い倦怠感がある。ホルモンや免疫、内科的な要因が関わる場合は、そちらの治療が先になります。そのうえで、ストレスや血流が関係する部分については鍼灸が役に立てる場面があります。

この記事の要点をまとめます。

・薄毛の原因はホルモンだけではなく、頭皮環境も関わる
・頭皮環境の中では、血流、首肩の緊張と自律神経、睡眠の質を優先して確認する
・栄養と洗髪も条件に含まれ、頭皮に炎症がある場合は洗髪の優先度が上がる
・AGAや円形脱毛症は医療の領域であり、頭皮環境は生活と施術の両面から整える

鍼灸整体院Re-Aneは品川区上大崎、目黒駅から徒歩4分の完全予約制の院です。薬やクリニックの治療を続けながら、頭皮環境の側で何ができるのかを整理したい方は、一度ご相談ください。


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