
幹細胞、幹細胞培養上清液、成長因子、エクソソーム。育毛や美容の情報を調べると、この4つが必ず並びます。
ところが、それぞれがどう関係しているのかまで説明されていることは多くありません。幹細胞という言葉の印象だけが先に立ち、実際に頭皮へ使われているものが何なのかは曖昧なまま残ります。目黒の当院にお越しになった方からも、値段の差が何によるものか判断できない、というお話をよく伺います。
用語が分からないまま高額なケアを選ぶ状況は、あまり健全ではありません。順番に整理していきます。

幹細胞は、二つの性質を同時に持つ細胞を指します。
一つは、分裂して自分と同じ細胞をつくり出せること。もう一つは、条件に応じて別の種類の細胞へ変化できることです。この二つが揃っているものを幹細胞と呼びます。
特別な存在というわけではなく、私たちの身体の中にも存在します。皮膚が入れ替わり、血液が絶えずつくられ、切り傷が塞がっていくのは、それぞれの組織に幹細胞があるためです。研究や美容の分野で使われるものには、脂肪、臍帯、歯髄などに由来するものがあります。
ここで押さえておきたいのは、幹細胞そのものを身体に入れる行為は医療の領域だという点です。医療機関以外でそれを行うことはできません。つまり、鍼灸院やサロンで幹細胞そのものが使われているということはありません。

では、実際に使われている幹細胞培養上清液とは何か。
幹細胞を培養液の中で育てると、細胞は増えながら、周囲の液体へさまざまな物質を放出します。この培養液から細胞を取り除き、残った上澄みを集めたものが幹細胞培養上清液です。細胞そのものではなく、細胞がつくり出した物質のほうを使っている、と考えると分かりやすいと思います。
中身は一種類ではありません。役割で括ると、三つに分けられます。
一つめが、指示を出すものです。成長因子やサイトカインと呼ばれるタンパク質で、細胞に対して増えるように、あるいは移動するようにと働きかけます。血管をつくる方向に働くもの、皮膚の細胞に作用するもの、毛包に関係すると報告されているものなど、種類ごとに役割が異なります。
二つめが、運ぶものです。エクソソームと呼ばれる、細胞が放出する非常に小さな袋状の粒子がこれにあたります。大きさは数十から百数十ナノメートルほどで、光学顕微鏡では見えません。この袋の中にはタンパク質や遺伝情報の一部が含まれており、別の細胞へ届けられることで情報が伝わると考えられています。
三つめが、土台になる材料です。アミノ酸やペプチド、ビタミン、ミネラル、ヒアルロン酸をはじめとする細胞外の環境に関わる成分、抗酸化に関わる物質などが含まれます。指示を受けた細胞が実際に働くとき、材料がなければ何も進みません。
指示と、運び手と、材料。この三つが一つの液体に含まれている、というのが上清液の構造です。
ただし、含まれる種類と量は製品によって大きく異なります。どの細胞を、どのような条件で培養し、どう処理したか。これらの違いで内容は変わります。上清液という名前が同じでも、中身が同じとは限りません。品質試験や成分データが確認できる製品かどうかが、判断の材料になります。
そして、これは幹細胞そのものを用いる医療とは別のものです。同じものとして語られる情報を見かけますが、性質も規制も異なります。

成分の話と同じくらい重要なのが、どうやって届けるかという工程です。
皮膚の表面には角層という強固な層があり、外から塗った成分の大半はここで止まります。上清液に含まれる分子は比較的大きいため、頭皮に塗るだけでは内側まで届きにくいのが実際のところです。良い成分を使っていても、表面に留まれば意味を持ちません。
そのため当院では、上清液を単独では使いません。マイクロニードルで微細な経路をつくり、超微細な高圧噴射で導入する手順を組み合わせています。針で開いた経路と、圧による押し込み。この二つで、届く量を確保することが目的です。使用しているのは、医療機関に卸されているものと製造元も中身も同一の製品です。化粧品として申請し、ラベルを変えて流通しているもので、内容を落としたものではありません。
あわせて、頭皮鍼と首肩への鍼、あん摩を行います。届ける工程を整えても、頭皮への血流が乏しい状態が続いていれば条件は整いません。何を使うかと、どう届けるかと、受け取る側の状態。この三つが揃って初めて意味を持つと考えています。
効果については、慎重に線を引いておく必要があります。成長因子やエクソソームが細胞に影響を与えること自体は、培養細胞や動物を用いた研究で確認されています。一方で、ヒトの頭皮に外から用いた場合にどの程度の変化が起こるかについては、規模の大きな比較試験が十分に揃っているとは言えません。可能性を示唆する報告がある、という段階です。
受けていただく際は、次の点をご確認ください。
・施術後に頭皮の赤みが出ることがあり、通常は数時間から翌日程度で落ち着きます
・施術の間隔は最低10日、2週間おきを基本とします
・頭皮に強い炎症、湿疹、かさぶた、膿がある場合は施術を行わず、皮膚科での確認を優先します
急に円形の脱毛が現れた、短期間で広い範囲の抜け毛が進んだ、頭皮に強い痛みや発疹があるという場合も、まず皮膚科での確認をお勧めします。原因によって取るべき対応が変わるためです。
何が入っていて、何が期待でき、何がまだ言い切れないのか。そこを理解したうえで判断していただくのが、結局は近道になります。鍼灸整体院 Re-Aneは目黒駅から徒歩4分、完全予約制です。育毛施術については、火曜と水曜に専門スタッフが対応しています。
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