姿勢が崩れているのに、目線は水平のまま

身体が姿勢を崩すとき、どこかで必ず折り返しています。理由は、頭の位置と目線を水平に保つためです。

これは意識してやっていることではありません。内耳の平衡感覚、目から入る情報、筋や関節にあるセンサーが常に働いていて、頭が傾かないように全身が自動的に調整しています。姿勢反射と呼ばれる仕組みです。

ここから、姿勢の崩れ方に法則が生まれます。骨盤がどちらかへ傾けば、その上の腰椎は反対へ曲がり、さらにその上の胸郭がもう一度折り返す。最終的に頭がまっすぐ乗るところで、形が決まります。

つまり、鏡に映る姿勢は原因ではなく結果です。どこか一か所の崩れを、他の場所が肩代わりした結果として、その形になっています。

腰は、この肩代わりが最も集まりやすい場所です。上には重い胸郭と頭、下には動きの大きい股関節があり、その間で辻褄を合わせる位置にあります。腰痛の相談で姿勢の話が出てくるのは、このためです。

崩れ方は、前後、左右、ねじれの三方向に分けられます。どの型かによって、痛む場面も対処も変わります。

前後、左右、ねじれ。三つの型

前後の型から説明します。

一つめが、骨盤が前に傾いて腰の反りが強くなる形です。お腹が前に出て、お尻が後ろに突き出た姿勢になります。腰の後ろ側の筋と、股関節の前を通る筋が短くなり、お腹の筋は働きにくくなります。この型では、立ちっぱなしのときや、上を向いて反ったときに痛みが出やすくなります。夕方になると腰が重くなる、という訴えも多く聞きます。

二つめが、骨盤が後ろに傾いて腰の反りが減る形です。背中が丸くなり、太ももの裏が短くなります。座っている時間が長い方に多く、前かがみで痛みが出やすいのが特徴です。朝起きたときや、長時間座ったあとに立ち上がる瞬間がつらくなります。

三つめが、骨盤全体が前へずれて、胸郭が後ろへ倒れる形です。横から見ると楽に立っているように見えるため、見過ごされやすい型です。股関節の前にぶら下がるように体重を預けているので、筋はあまり使っていません。そのぶん、腰と背中の境目あたりに圧が集中します。若い方や、立ち仕事で疲れている方に多く見られます。

次に、左右の型です。

片足に体重をかけて立つ癖、いつも同じ側で荷物を持つ習慣、片側だけで脚を組む座り方。こうした偏りが続くと、骨盤の左右の高さが変わります。すると腰椎は反対側へ曲がり、その上でもう一度折り返す。身体の正面から見ると、ゆるやかなS字になります。

この型の特徴は、痛みが片側に出ることです。腰の片側だけが重い、いつも同じ側が張る。靴底の減り方に左右差がある、ズボンの裾の長さが左右で違って見える、といったところにも現れます。

三つめが、ねじれの型です。

歩くとき、骨盤と胸郭は逆方向に回旋しています。右脚が前に出れば骨盤は右へ回り、上半身は左へ回って左腕が前に出る。この逆回旋があることで、腰にかかる力が分散されます。

ゴルフや野球のように片方向へ捻る動作を繰り返す方、デスクで身体をねじった位置にモニターがある方では、この回旋に偏りが生まれます。骨盤と胸郭が同じ方向を向いたまま歩くようになると、逆回旋による分散が失われ、腰椎に捻る力が集中します。振り返る動作で痛む、片方だけ振り向きにくい、というのがこの型の特徴です。

実際には、この三つが単独で現れることはあまりありません。前後の崩れに左右の偏りが重なり、そこにねじれが加わる。腰はその全部を引き受けています。

姿勢を正しても戻るのは、代償に目的があるから

ここまで読んで、自分の型が分かった気がした方がいるかもしれません。ただ、その次に多くの人がやることが、うまくいきません。

姿勢を正そうとすることです。

反り腰だから骨盤を後ろに倒す。猫背だから胸を張る。左に傾いているから右へ寄せる。これで一時的に形は整いますが、力を抜けば戻ります。そして、正した姿勢を保とうとして一日中力んでいると、腰はかえって固まります。

理由は、代償が目的を持って起きているからです。

身体はやみくもに崩れているわけではありません。頭と目線を水平に保つため、あるいは動きにくい関節を避けるために、その形を選んでいます。股関節が反り返る方向に動かなければ、腰がその分を肩代わりします。胸郭が回らなければ、腰椎が回ります。足首が硬ければ、重心の位置が変わります。

このとき腰は、被害を受けている側です。代償を引き受けた結果として痛みが出ています。その腰を正しい位置に戻そうとしても、元の場所が動かないままなら、また同じ形に戻ります。

だから、腰をほぐしても数日で戻る、ストレッチを続けても変わらない、という経験が起きます。動いていない関節を見つけずに、代償している場所だけを扱っているためです。

もう一つ。姿勢は静止した形の話に見えますが、実際に問題が出るのは動いているときです。立っている形が整っていても、歩く中で骨盤と胸郭の逆回旋が起きていなければ、腰への負担は変わりません。写真で判断しきれない理由がここにあります。

自分で確かめる方法と、Re-Aneでの進め方

まず、自分がどの型に近いかを確かめてみてください。

前後の型は、痛みが出る場面で見当がつきます。反って痛いのか、前かがみで痛いのか。立ちっぱなしがつらいのか、座りっぱなしがつらいのか。この二つが逆であることが多く、簡単な手がかりになります。

左右の型は、靴底の減り方を見てください。左右で減る場所が違う、片方だけ外側がすり減っている。鏡の前に立って、肩とベルトの高さが水平かどうかも目安になります。

ねじれの型は、その場で足踏みをして、腕の振りに左右差がないかを見てください。振り返る動作で、片方だけやりにくくないかどうかも確認できます。

鍼灸整体院 Re-Aneでは、腰痛のご相談に対して腰だけを確認することはありません。前屈と後屈でどちらが症状を強めるか、立位と座位で変化があるか、股関節がどの方向に動きにくいか、胸郭が回旋するか、足部の接地に偏りがないか、歩行で骨盤と胸郭の逆回旋が起きているか。こうした点を確認したうえで、施術の組み立てを決めます。

腰の緊張をゆるめること自体は、その場で起こります。それが続くかどうかは、腰が肩代わりしなくてよい条件になったかどうかで決まると考えています。

ご自身でできることとしては、正しい姿勢を保ち続けようとするより、同じ姿勢を長く続けないほうが確実です。片足重心、脚を組む、片側で荷物を持つといった偏りに気づいたら、反対側も使う。一時間に一度は立ち上がって、身体をゆっくり左右にねじる。腰を固定するより、動かす回数を増やすことが土台になります。

なお、安静にしていても強く痛む、夜間に目が覚めるほど痛む、脚に力が入らない、つまずくようになった、両脚にしびれがある、発熱や体重減少を伴う、転倒や事故のあとから始まった。こうした場合は、施術ではなく医療機関での確認を最優先してください。

腰をほぐしても数日で戻るという経験が続いているなら、まだ確認していない場所があります。鍼灸整体院 Re-Aneは目黒駅から徒歩4分、完全予約制です。

腰の痛みが続いている方はこちらをご覧ください。

腰痛

お尻から脚にかけての痛みやしびれを伴う方はこちらをご覧ください。

坐骨神経痛

姿勢そのものを整えたい方はこちらをご覧ください。

猫背

股関節に違和感がある方はこちらをご覧ください。

股関節痛

実際に通われた方の経過は、改善事例のページに掲載しています。

お客様の声

■ この記事を書いた人

榎園 高一郎(えのきぞの こういちろう)
鍼灸整体院 Re-Ane 院長

【国家資格】
鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師

【関連資格】
JCR登録カイロプラクター/NESTA-PFT/登録販売者/毛髪診断士

歯科法人が運営する鍼灸マッサージ院で歯科医師と連携し、顎関節症と食いしばりを多数担当。訪問マッサージや姿勢矯正専門院での臨床を経てRe-Aneを開院。自身も長年の腰痛に悩んだ経験から、痛みは患部だけの問題ではないという考えに至る。

現在は顎関節症と食いしばり、慢性腰痛、坐骨神経痛、発毛促進を目的とした育毛施術を専門としている。

鍼灸整体院 Re-Ane
東京都品川区上大崎2-18-25 目黒三田フラワーマンション604
目黒駅から徒歩4分/完全予約制

院長紹介はこちら

院長紹介


この記事をシェアする

関連記事