
ぎっくり腰を繰り返す方の多くは、二度目以降のきっかけが一度目より軽くなっています。
初回は、重い荷物を持ち上げた、引っ越しをした、といったはっきりした場面があります。ところが二度目は、洗面台で顔を洗おうとしたとき、床のリモコンを拾おうとしたとき、靴下を履こうとしたとき。本人の感覚としては何もしていないのに、腰が抜けるように動けなくなります。
このとき「腰が弱くなった」と受け取る方がほとんどです。しかし筋力が落ちたから起こる、という説明だけでは、一度目と二度目のあいだに何が変わったのかが分かりません。変わったのは、腰の強さよりも、体の動かし方である場合があります。
急性腰痛の痛みそのものは、多くの場合、数日から数週間で落ち着いていきます。一方で再発が多いことも知られています。痛みが引く過程と、再発しにくい体に戻る過程は、同じではありません。

ぎっくり腰の直後、体は腰部を動かさないための庇い動作を自動的に始めます。
痛みが強い時期、腰まわりの筋は反射的に緊張し、腰椎の動きを制限します。これは損傷部位を守るための防御性の反応です。同時に、日常動作のやり方も変わります。振り向くときは首と足で回り、椅子から立つときは腕に頼り、床のものを拾うときは腰を曲げず膝だけを使う。寝返りは息を止め、体幹を一本の板のようにして打ちます。
痛みのある数日間、この戦略は合理的です。腰椎への負担を減らし、動ける範囲を確保してくれます。
問題は、この期間に起きるもうひとつの変化です。腰椎を安定させる役目を担う腹横筋や多裂筋といった深層の筋は、痛みがあると働きが抑えられます。とくに多裂筋は、急性腰痛のあとに断面積の減少が起こり、痛みが消えたあとも自然には回復しにくいことが報告されています。
つまり痛みが引く頃には、表層の筋で腰を固める動き方と、深層の筋が働きにくい状態が、セットで出来上がっています。

痛みが消えても、庇い動作は自動的には解除されず、日常動作の癖として残ります。
健康な状態では、腕や脚を動かすより先に、腹横筋などの深層筋がわずかに先行して収縮し、体幹を安定させてから四肢が動きます。腰痛の経験がある方では、この先行収縮のタイミングが遅れることが報告されています。準備が整う前に動き始めるため、負担が腰椎に直接かかります。
さらに、腰を固めて動く癖が続くと、本来その動きを分担するはずの股関節と胸椎の可動性が落ちていきます。前かがみ、ひねり、後ろへの反り。これらは股関節と胸椎が受け持つ範囲が大きい動作です。その二か所が硬くなるほど、残った腰椎の数か所に動きが集中します。
顔を洗う前かがみも、靴下を履く動作も、本来は股関節が主役です。股関節が使えていない体では、同じ動作が腰椎だけで行われます。何もしていないのに起こったように感じる二度目は、軽い動作で限界に達する条件が、その前の数か月で整っていたという見方ができます。
痛みが消えたことと、元の動き方に戻ったことは別です。ここを同じものと考えてしまうと、再発の準備期間をそのまま過ごすことになります。
次の3つを確認してみてください。
仰向けで両膝を立て、左右に倒したとき、片側だけ明らかに倒しにくい
椅子に座って腕を組み、上半身だけを左右にひねると、以前より回らない
立ったまま片脚を上げて靴下を履こうとすると、ふらつく、または腰で反ってしまう
当てはまる項目がある場合、腰そのものより、股関節と胸椎の動きが戻っていない可能性があります。

再発を減らすうえで重要なのは、痛みが消えたあとに、庇い動作が残っていないかを確認することです。
日常では、床のものを拾うときに股関節を折りたたむ意識を持つ、椅子から立つときに足の裏へ体重を乗せてから立つ、といった動作の見直しが実用的です。腰を反らせる体操や強いストレッチを急に始める必要はありません。息を止めずに動けているかどうかのほうが、はじめの目安になります。
Re-Aneでは、腰部そのものの状態に加えて、股関節と胸椎の可動性、呼吸に伴う体幹の動き、立ち上がりや歩行時の重心の移り方を確認します。腰を固める癖がどの動作で出ているかを特定し、鍼で緊張の強い部位の血流を改善しながら、整体で股関節と胸椎の動きを戻していきます。鍼と整体のどちらを主に用いるかは、その時点の状態によって変えています。目黒駅から徒歩4分、品川区上大崎の完全予約制の院として、痛みが引いたあとの動きの立て直しまでを含めて対応しています。
なお、次の場合は施術より先に整形外科の受診が必要です。脚のしびれや力の入りにくさが広がる、尿や便が出にくい、安静にしていても痛みが強まる、発熱を伴う、転倒や事故のあとに痛みが出た。このような症状は、椎間板や神経、骨の問題が関係している可能性があります。
急性期の強い痛みが落ち着いてきた時期は、動作の癖が固定される前の段階です。この時期の確認が、三度目を防ぐ分かれ目になります。
ぎっくり腰を短期間に繰り返している方へ
痛みが引いても腰の重さや違和感が続いている方へ
臀部から脚にかけてのしびれや痛みが気になる方へ
腰を反らせて立つ癖や姿勢の崩れが気になる方へ
■ この記事を書いた人
榎園 高一郎(えのきぞの こういちろう)
鍼灸整体院 Re-Ane 院長
【国家資格】
鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師
【関連資格】
JCR登録カイロプラクター/NESTA-PFT/登録販売者/毛髪診断士
歯科法人が運営する鍼灸マッサージ院で歯科医師と連携し、顎関節症と食いしばりを多数担当。訪問マッサージや姿勢矯正専門院での臨床を経てRe-Aneを開院。自身も長年の腰痛に悩んだ経験から、痛みは患部だけの問題ではないという考えに至る。
現在は顎関節症と食いしばり、慢性腰痛、坐骨神経痛、発毛促進を目的とした育毛施術を専門としている。
鍼灸整体院 Re-Ane
東京都品川区上大崎2-18-25 目黒三田フラワーマンション604
目黒駅から徒歩4分/完全予約制
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