腕を上げたり、物を取ろうと前に伸ばしたりしたときに、肩の前のあたりがズキッと痛む。一度おさまっても、しばらくするとまたぶり返す。そういう肩の前の痛みで困っている方に、見直してほしいポイントがあります。痛みがすぐ戻る人は、肩がすくみ、脇が開いた状態で作業していることが多いのです。
肩の前の痛みと、長頭腱
肩の前には、上腕二頭筋の長頭腱という腱が通っています。力こぶをつくる筋肉から伸びて、肩の前の溝(結節間溝)を通り、肩関節の中に入っていく腱です。腕を上げ下げするたびに、この腱は溝の中を滑るように動きます。
ここに摩擦や負担がかかり続けると、腱が炎症を起こし、肩の前の痛みとして出てきます。腕を動かしたときに痛む、肩の前の一点を押すと痛い、というのが特徴です。
ただ、この痛みは、長頭腱だけが単独で悪くなっていることは比較的少なく、肩のインピンジメント(挟み込み)や腱板の問題と一緒に起きていることが多い、とされています。つまり、腱そのものより、肩全体の使い方や肩甲骨の位置に、ぶり返す原因が隠れていることがあります。
なぜ「肩のすくみ」と「脇の開き」が問題か
肩がすくむと、肩甲骨の向きが変わります。本来、腕を上げるときには肩甲骨が連動して動いて、腕の骨と肩の屋根(肩峰)の間にスペースをつくります。ところが、肩がすくんだまま、肩甲骨がうまく動かない状態だと、このスペースが狭くなり、長頭腱や腱板が骨と擦れやすくなります。
さらに、脇を開いた状態での作業。腕を体から離して保つ姿勢は、肩の前の腱に負担が集まりやすい。パソコン作業で肘が浮いている、脇を開いて細かい手作業を続ける、といった場面で、長頭腱には休みなくストレスがかかります。
痛みが出る→かばう→肩がすくむ→さらに擦れる、という悪循環に入ると、安静にして一度おさまっても、また同じ姿勢で作業すれば、すぐにぶり返します。これが、なかなか治りきらない肩の前の痛みの正体のひとつです。
改善まで、注意したいこと
治っていく途中で気をつけたいのは、次のような場面です。
ひとつは、脇を開いたままの長時間作業。パソコンなら、肘が体の横で支えられる高さに椅子や机を調整し、肘を浮かせて脇を開きっぱなしにしない。手作業も、脇を締められる位置に対象を近づける。
ふたつめは、肩をすくめたままの緊張。集中するとつい肩が上がります。ときどき肩を下ろして、首と肩のあいだを長く保つことを思い出してください。
みっつめは、痛む動きを我慢して繰り返すこと。腕を高く上げる、重い物を腕を伸ばして持つ、つり革や洗濯物など腕を上げる動作で痛むなら、その動きは炎症を長引かせます。痛みの出る動作は、改善するまで控えめに。
温めて血流を保つのは構いませんが、痛む腱を強く揉んだり、痛いのに無理にストレッチするのは、かえって刺激になります。
なお、腕が上がらない、力が入らない、夜間に強く痛んで眠れない、といった場合は、腱板断裂など別の問題が隠れていることがあります。その場合は、整形外科で一度診てもらってください。
Re-Aneでの考え方
Re-Aneでは、肩の前の痛みのご相談を受けたとき、痛む腱だけを見ることはしません。肩甲骨の動き、肩がすくむ背景にある首や胸郭の状態、脇が開く作業姿勢、腕全体の使い方まで含めて、なぜその痛みがぶり返すのかを確かめていきます。
腱の炎症そのものへの対応と並行して、肩甲骨が正しく動く土台、すくまずに腕を使える状態を整えていく。痛む場所を治すだけでなく、痛みが戻りにくい肩の使い方へ。それが、繰り返す肩の前の痛みから抜け出す近道だと考えています。
鍼灸整体院 Re-Aneは、目黒駅から徒歩4分、品川区上大崎にあります。慢性的な痛みや不調に対して、痛む場所だけでなく、神経・筋肉・関節・呼吸・姿勢・歩行まで確認しながら施術しています。
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よくあるご質問
Q. 腕を動かすと肩の前が痛みます。これは何ですか?
A. 肩の前を通る上腕二頭筋の長頭腱に、負担がかかって炎症を起こしていることがあります。腕を動かすと痛む、肩の前の一点を押すと痛い、というのが特徴です。ただ、肩のインピンジメントや腱板の問題と一緒に起きていることも多く、肩全体の評価が大切です。
Q. なぜ、すぐぶり返すのですか?
A. 肩がすくみ、脇を開いた姿勢で作業を続けると、肩甲骨の動きが悪くなり、腱が骨と擦れやすくなります。安静で一度おさまっても、同じ姿勢に戻ればまた負担がかかるため、ぶり返します。
Q. 改善まで、何に気をつければいいですか?
A. 脇を開いたままの長時間作業を避ける、肩をすくめたままにしない、痛む動き(腕を高く上げる・伸ばして重い物を持つ)を控える、の3つです。温めて血流を保つのは構いませんが、強く揉む・痛いのにストレッチするのは逆効果です。
Q. 病院に行くべきサインはありますか?
A. 腕が上がらない、力が入らない、夜間に強く痛んで眠れない場合は、腱板断裂など別の問題が隠れていることがあります。整形外科で一度診てもらってください。