「頭皮が硬いですね」と言われたあとに残る疑問

美容室で頭を洗ってもらいながら、頭皮が硬いと言われた。家に帰って自分で押してみると、額の生え際や耳の上あたりは、指を当てても皮膚がほとんど動かない。額の皮膚は少し動くのに、頭頂部は骨に貼りついたまま。そこで薄毛と結びつけて不安になり、その日から頭皮マッサージを始めた方は多いと思います。

ただ、数か月続けても手応えがない。硬さも変わらないし、抜け毛の量も変わらない。頭皮の硬さは本当に薄毛と関係があるのか、あるとすればどう関係するのか。ここが分からないまま、なんとなく揉み続けている状態になりがちです。

結論から書きます。頭皮の硬さそのものが髪を細くするわけではありません。硬さと薄毛は、どちらも頭皮の循環という同じ背景から出てくる現象です。順に説明します。

髪の栄養は血液が運ぶ。毛包と毛細血管の関係

髪をつくっているのは毛包という皮膚の中の器官で、その材料はすべて血液から届きます。毛包の周囲には毛細血管が網の目のように取り巻いていて、酸素とアミノ酸、鉄や亜鉛といった材料を運び、同時に老廃物と熱を回収しています。毛包の周りの血管網は、髪が伸びる時期に合わせて密度を変えることが知られています。髪をつくるという仕事は、それだけ供給に依存しています。

では硬さのほうはどうか。頭部は他の部位と違い、筋肉の層がほとんどありません。前頭部と後頭部の筋肉をつなぐ帽状腱膜という薄い膜が頭蓋骨を覆っていて、その上に皮下組織と皮膚が乗っています。首や後頭部の緊張が続くと、この膜が引っ張られた状態になり、頭皮を指で動かしたときの遊びが減ります。加えて、循環が落ちて皮下組織の水分と柔軟性が失われると、手触りはさらに硬くなります。

つまり頭皮の硬さは、膜の緊張と循環の低下が重なって現れる状態です。硬さは原因ではなく、頭皮で何かが起きているという表示に近いものと考えられます。ただし硬さだけで薄毛の原因を判断することはできません。硬くても髪が保たれている方もいますし、柔らかくても薄毛が進む方もいます。

ゴースト血管とは何か。血流が届かなくなると頭皮で何が起きるのか

毛細血管は、内側を覆う内皮細胞と、その外側から寄り添う周皮細胞という細胞で成り立っています。この2種類の細胞の接着が緩むと、血液の成分が周囲に漏れやすくなり、血管としての機能が落ちていきます。血液が流れなくなった毛細血管は、やがて退縮します。血管の形は残っているのに血液が通っていない状態を、ゴースト血管と呼ぶ考え方が提唱されています。

背景として挙げられているのは、加齢、運動不足、血糖の乱れ、睡眠不足、喫煙、慢性的な緊張です。いずれも毛細血管を使わない時間を増やし、内皮細胞と周皮細胞の関係を保ちにくくする条件です。

これが頭皮の毛細血管で進んだ場合、毛包へ届く酸素と栄養が減り、老廃物と熱が滞りやすくなります。髪が伸びる成長期を維持しにくくなる可能性も考えられます。ただし、頭皮のゴースト血管化が薄毛の直接の原因であると確定したわけではありません。現時点では、循環が長く落ちた頭皮で何が起きているのかを説明する枠組みのひとつとして受け止めるのが妥当です。

 

頭皮の硬さとの関係でいえば、硬いからゴースト血管になるという一方向の話ではありません。血流が届きにくい状態が続けば組織は硬くなり、硬くなって動きが減れば循環はさらに落ちる。この2つは並行して進みます。

頭皮マッサージを続けても手応えが出にくいのは、この循環を決めている場所が頭皮の外にも広くあるからです。頭部へ向かう主要な血管はいずれも頸部を通ります。頭が前に出た姿勢が一日の大半を占め、後頭下から肩甲骨まわりの緊張が抜けない状態では、頭皮をいくら揉んでも供給の総量は増えません。交感神経が優位な時間が長く続けば、末梢の血管は収縮しやすい状態に傾きます。当院では、頭皮の可動性と左右の温度差に加えて、頸部から後頭下の緊張、呼吸の深さと姿勢、睡眠と食事の状況を確認したうえで、マイクロスコープで毛包の状態と炎症の有無を確認しています。

頭皮の硬さを防ぐために、日常でできること

順番があります。まず全身の循環を動かすことです。歩行やふくらはぎを使う運動を1日20分程度、毎日でなくても週の半分ほど続けると、毛細血管に血液が流れる時間そのものが増えます。頭皮だけを触るより、こちらが先です。

次に温めることです。シャワーで済ませず湯船に浸かる日をつくると、末梢まで血液が巡ります。入浴後に頭皮を触ると、日中より柔らかく感じられるはずです。その感覚を基準にすると、自分の頭皮の変化に気づきやすくなります。

三番目に、頸部と肩甲骨を動かすことです。長時間同じ姿勢が続いたら、肩を回し、顎を軽く引いて後頭部を伸ばす。1回1分で構いません。回数を分けたほうが効果が続きます。

四番目に、血管そのものを傷めない生活です。喫煙、甘い飲料や間食による血糖の乱高下、睡眠不足は、いずれも毛細血管の状態に関わります。髪の材料という点では、毎食たんぱく質を一品入れること、極端な食事制限を避けることも同じ意味を持ちます。

セルフマッサージを行う場合は、擦らずに動かします。指の腹を頭皮に当てたまま、皮膚ごと前後左右に小さく動かす。耳の上、生え際、後頭部の付け根の3か所で十分です。爪を立てる、強く押し込む、長時間続けるといった方法は、かえって炎症を招きます。

なお、円形の脱毛斑がはっきり現れている、短期間に大量の抜け毛が起きた、頭皮に強い赤みや痛み、膿を伴う症状がある、女性で抜け毛と同時に体重や月経の変化、強い倦怠感がある場合は、先に医療機関を受診してください。ホルモンや免疫、内科的な要因が関わる場合は、そちらの治療が優先になります。

この記事の要点をまとめます。

・頭皮の硬さは薄毛の原因ではなく、循環が落ちた結果として現れる状態と考えられる
・髪の材料は毛包の周囲の毛細血管が運ぶため、供給が落ちれば髪をつくる働きから節約される
・血液が流れなくなった毛細血管はゴースト血管と呼ばれ、加齢や運動不足、睡眠不足、喫煙が背景として挙げられている
・防ぐ順番は、全身の循環を動かす、温める、頸部と肩甲骨を動かす、血管を傷めない生活を整える

 

この記事の要点をまとめます。

・頭皮の硬さは薄毛の原因ではなく、循環が落ちた結果として現れる状態と考えられる
・髪の材料は毛包の周囲の毛細血管が運ぶため、供給が落ちれば髪をつくる働きから節約される
・血液が流れなくなった毛細血管はゴースト血管と呼ばれ、加齢や運動不足、睡眠不足、喫煙が背景として挙げられている
・防ぐ順番は、全身の循環を動かす、温める、頸部と肩甲骨を動かす、血管を傷めない生活を整える

鍼灸整体院Re-Aneは品川区上大崎、目黒駅から徒歩4分の完全予約制の院です。頭皮の硬さや抜け毛が気になり、自分でできることを一通り試したという方は、頸部や自律神経の状態も含めて一度ご相談ください。頭皮鍼と首肩への鍼、あん摩で全身を整えながら、発毛促進を支える頭皮環境づくりに取り組んでいます。

 

発毛促進を目的とした育毛施術について、詳しくはこちらをご覧ください。

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