
髪は血液からつくられます。この一文が、血流と薄毛の関係の出発点になります。
髪の毛そのものは、爪と同じく死んだ細胞が押し出されて連なったものです。伸びているように見えて、実際に生きて働いているのは頭皮の内側にある毛包の下端だけです。そこで細胞が分裂を繰り返し、つくられた細胞が上へ押し上げられて硬化する。この積み重ねが、毛髪として外に出てきます。
つまり、髪が伸びるかどうか、太く育つかどうかは、頭皮の中で起きている細胞分裂の話です。そして細胞が分裂するには、材料とエネルギーが要ります。タンパク質を構成するアミノ酸、酵素の働きに関わる亜鉛や鉄、代謝を回すビタミン群、そして酸素。これらを毛包まで運んでいるのは血液以外にありません。
目黒の当院にお越しになる方から、シャンプーや育毛剤を変えても変わらなかった、というお話をよく伺います。外から塗るものが無意味というわけではありませんが、材料の供給路が細くなっている状態では、上乗せできる幅も限られます。まず土台のほうを確認する必要があります。

血流の重要性を理解するには、毛包がどれだけ材料を必要としているかを知っておくと早いです。
毛包の下端は毛球部と呼ばれ、その中にある毛母細胞は、体内でも分裂の速度が高い細胞のひとつに数えられます。骨髄や消化管の粘膜と並ぶ水準です。分裂が速いということは、それだけ短時間で大量の材料を消費するということでもあります。
この毛球部の内側に入り込んでいるのが、毛乳頭という組織です。毛乳頭は毛の成長を制御する司令塔として知られていますが、構造としてはもう一つ重要な役割があります。毛乳頭の中には毛細血管が入り込んでおり、ここが血液と毛包の接点になっています。毛包全体が血管に包まれているわけではなく、供給の入口はこの一点に集約されています。
抗がん剤で脱毛が起こるのも、この性質と関係しています。分裂の速い細胞に作用する薬剤が、髪をつくる細胞にも影響するためです。毛球部が代謝の活発な組織であることの、裏側からの証明とも言えます。
供給が細くなったときに何が起きるか。細胞分裂の速度が落ち、つくられる毛が細くなります。さらに、後述する毛周期の進行にも影響が及びます。急に抜けるというより、一本一本が細く短くなっていく変化として現れることが多いと考えられます。

毛包と血流の関係で、あまり知られていないのがこの点です。
髪には、伸び続ける成長期、成長が止まる退行期、休む休止期という周期があります。成長期は数年に及び、退行期と休止期は数か月です。頭髪の大部分は成長期にあり、一定の割合が入れ替わりながら周期を回しています。
このとき、毛包の構造そのものが大きく変化します。退行期に入ると毛球部は縮小して上へ引き上げられ、休止期を経て、次の成長期にまた下へ伸びていきます。毛包が伸び縮みするのに合わせて、その周囲の血管網も再構築されることが動物を用いた研究で報告されています。成長期には毛球部の周囲で血管が増え、退行期には減る。この変化には、血管新生に関わるVEGFなどの因子が関与するとされています。
言い換えれば、血管網は毛包に付随する固定の設備ではなく、毛周期に合わせて動く仕組みの一部です。そのため、血流の条件が悪い状態が長く続くと、単に材料が届きにくいというだけでなく、成長期を維持したり、休止期から成長期へ切り替えたりする段階にも影響が及ぶ可能性が考えられます。
ただし、ここは慎重に線を引いておく必要があります。血流の低下が薄毛の原因のすべてを説明するわけではありません。男性型脱毛症の中心にあるのはホルモンの影響であり、円形脱毛症では自己免疫が関わります。血流はそれらとは別の層にある条件で、単独で薄毛を引き起こすというより、他の要因が働いているときに回復の余地を狭める側の要素と捉えるのが妥当だと考えています。

頭皮マッサージで一時的に温かくなっても、しばらくすると元に戻る。この経験をお持ちの方は多いと思います。
理由は、頭皮へ向かう血液がどこを通ってくるかを考えると分かります。頭部を養う血管は、頸部を通って上がってきます。首の前面から側面を走る太い血管から枝分かれし、後頭部や側頭部へ分布していきます。この通り道に緊張が強く残っていれば、入口の手前で条件が決まってしまいます。頭皮の表面だけをゆるめても、供給そのものは変わりません。
もう一つ、自律神経の状態も関わります。血管の太さは自律神経の働きによって調節されており、緊張が続く状態では末梢の血管は収縮する方向に傾きます。デスクワークで首肩が硬く、呼吸が浅く、睡眠が十分に取れていない。この組み合わせは、頭部への血流にとって不利な条件が揃った状態です。
鍼灸整体院 Re-Aneでは、育毛のご相談に対して頭皮だけを対象にすることはありません。頸部の緊張がどこに強く出ているか、頭部が体幹に対してどの位置にあるか、呼吸のときに胸郭がどう動いているか。こうした点を確認したうえで、頭皮鍼と首肩への鍼、あん摩を組み合わせます。鍼による血流の改善は、比較的しっかりした根拠のある作用です。
そのうえで、マイクロニードルと幹細胞培養上清液の導入を行います。材料を外から届ける工程と、材料が届く条件を整える工程。この二つは、どちらか一方では成立しにくいと考えています。
ご自身でできることとしては、首や肩を長時間固めない、画面の高さを目線に近づける、睡眠の時間を確保する、といった条件の見直しが土台になります。頭皮への働きかけは、その上に乗せるものと捉えてください。
なお、急に円形の脱毛が現れた、短期間で広い範囲の抜け毛が進んだ、頭皮に強い痛みや発疹があるという場合は、まず皮膚科での確認をお勧めします。背景にある原因によって、取るべき対応が変わります。
鍼灸整体院 Re-Aneは目黒駅から徒歩4分、完全予約制です。育毛施術については、火曜と水曜に専門スタッフが対応しています。
発毛促進を目的とした育毛施術について、詳しくはこちらをご覧ください。
首や肩のこりが慢性化している方は、こちらも参考になります。
眠りが浅い日が続いている方はこちらをご覧ください。
疲れが抜けにくい状態が続いている方はこちらをご覧ください。
実際に通われた方の経過は、改善事例のページに掲載しています。