
円形脱毛症は、自分では見つけにくい場所から始まることがあります。
美容室で頭を洗ってもらっているときに指摘された。家族に後頭部を見られて言われた。髪をまとめたときに写真に写っていた。こうした形で気づく方が少なくありません。目黒の当院にご相談に来られる方も、発見の経緯はほとんどがこのパターンです。
前触れがないのも特徴です。痛みも痒みもなく、抜け毛が増えたという実感もないまま、境界のはっきりした丸い範囲だけが抜けている。思い当たることを探しても見つからず、心当たりがないぶん不安が大きくなります。
まず知っておいていただきたいのは、これは頭皮の手入れが足りなかったから起きたものではない、ということです。背景にあるのは別の仕組みです。

円形脱毛症は、自分の免疫が毛包を攻撃してしまうことで起こる、自己免疫の反応が中心にあると考えられています。
毛包には、免疫特権と呼ばれる性質が備わっています。体内では異物とみなされかねない構造を持ちながら、免疫の攻撃対象から外れるように保護されている領域です。この保護が何らかのきっかけで崩れると、免疫の細胞が成長期にある毛包の周囲に集まり、毛をつくる働きが止められてしまいます。
ここで押さえておきたいのが、毛包そのものは残っていることが多いという点です。攻撃を受けているのは成長期の毛包で、毛包の構造が破壊されて失われるわけではありません。毛根が死んだわけでも、二度と生えない場所になったわけでもない。だからこそ、免疫の反応が落ち着けば再び伸び始める可能性があります。
範囲や経過には幅があります。一か所だけで自然に回復していく方もいれば、複数の箇所に現れる方、範囲が広がっていく方もいます。爪に細かなくぼみが現れることがあり、甲状腺の疾患やアトピー性皮膚炎などを併せ持つ場合もあります。これらは、この反応が全身の免疫の状態と関わっていることを示しています。
なお、ストレスが唯一の原因という説明を見かけますが、これは正確ではありません。ストレスがきっかけの一つとして関わる可能性は指摘されていますが、それだけで説明できるものではなく、ストレスがない人にも起こります。原因を自分の心の持ちようだけに求めると、必要な対応が遅れます。

円形脱毛症が疑われる場合、最初に向かうべきなのは皮膚科です。鍼灸院やサロンではありません。理由は三つあります。
一つめは、診断を確定させる必要があるためです。丸く抜ける脱毛は、円形脱毛症以外の原因でも起こります。無意識に髪を抜いてしまう習癖によるもの、真菌の感染によるもの、毛包が瘢痕に置き換わって回復が難しくなるタイプの脱毛症など、対応がまったく異なるものが含まれます。見た目だけで判断できないものが混ざっている以上、専門的な確認が要ります。
二つめは、範囲と経過によって治療の方針が変わるためです。限られた範囲にとどまっている場合と、広がりつつある場合、爪の変化を伴う場合とでは、選ばれる対応が異なります。近年は重い経過をたどる方に向けた治療の選択肢も加わっており、以前より相談する意味は大きくなっています。
三つめは、時期の問題です。進行している段階では、早い時点で相談したほうが取れる選択肢が多くなります。しばらく様子を見てから、と考えているうちに範囲が広がると、対応が難しくなることがあります。
正直に申し上げて、免疫が毛包を攻撃している反応そのものに対して、鍼灸で直接働きかけることはできません。ここを曖昧にしたまま施術を勧めるのは誠実ではないと考えています。まず皮膚科で確認を受けてください。

皮膚科での対応と並行する形であれば、身体の側から整えられる部分があります。
一つは、頭部への血流です。免疫の反応が落ち着いて毛包が再び働き始めるとき、必要な材料は血液から届きます。頭部を養う血管は頸部を通って上がってくるため、首肩の緊張が強い状態では、供給の条件が整いにくくなります。鍼による血流の改善は、比較的しっかりした根拠のある作用です。
もう一つは、自律神経と睡眠です。緊張が続く状態では末梢の血管は収縮する方向に傾き、眠りが浅い日が続けば回復に使われる時間そのものが削られます。免疫の働きは自律神経や睡眠の状態と無関係ではなく、ここを整えておくことには意味があると考えています。ただし、鍼灸で免疫の異常が正常化すると言い切れるものではありません。反応がみられることがある、という水準にとどめておくべき部分です。
そして、円形脱毛症は本人の精神的な負担が非常に大きい症状です。人に会うのがつらい、髪型で隠すことばかり考えてしまう。その状態が続くこと自体が、身体の緊張を保ち続ける要因になります。緊張をほどく時間を持つことは、間接的ではありますが役に立ちます。
鍼灸整体院 Re-Aneでは、円形脱毛症のご相談に対して、まず皮膚科での確認状況をお聞きします。そのうえで頸部の緊張、頭部の位置、呼吸のときの胸郭の動き、睡眠の状態を確認し、頭皮鍼と首肩への鍼、あん摩を組み合わせます。範囲が広がっている段階では、頭皮への直接の刺激を控えることもあります。状態に合わせて内容を変える判断が必要な症状です。
ご自身でできることとしては、首肩を長時間固めない、睡眠の時間を確保する、隠すことに神経を使いすぎない環境をつくる、といった条件の見直しが土台になります。無理に完璧な生活を目指すより、続けられる範囲を保つほうが現実的です。
範囲が急速に広がっている、頭部以外の体毛にも変化がある、爪の変形を伴うという場合は、皮膚科での相談を急いでください。
鍼灸整体院 Re-Aneは目黒駅から徒歩4分、完全予約制です。皮膚科での対応と並行して身体の側を整えたい方は、ご相談ください。
発毛促進を目的とした育毛施術について、詳しくはこちらをご覧ください。
首や肩のこりが慢性化している方は、こちらも参考になります。
眠りが浅い日が続いている方はこちらをご覧ください。
緊張や疲れが抜けにくい状態が続いている方はこちらをご覧ください。
実際に通われた方の経過は、改善事例のページに掲載しています。